変わらぬ愛なんて、あり得ない!【甘い香りに誘われてⅡ】spin off
「今さら何なの?どの口が言ってんの…」

私の前から、勝手にいなくなったくせに!


7年前の夏の夜。楽しそうな人たちの声、雨でぐっしょり濡れた浴衣…



パシッと、駿の手を払い退け、立ち上がる。

「美咲…」

「何が『ずっと』よ。人の気持ちなんて、すぐに変わってしまうのよ。貴方がそうだったように。
私は誰の事も信じないわ。信じられなくなったのよ。私の事を構わないでよ!」

勢いよくドアを開け、女子トイレに駆け込む。

蛇口からザーザーと水を出し、声を押し殺して泣いた。涙が、後から後から溢れてきて、止まらない。

早く戻らなきゃ…

感情を押し殺す事なら得意なはずなのに、駿が近くに来てから、上手く隠す事が出来なくなってる。

悔しい…

もっと強くなりたい。

顔をバシャバシャと洗う。

何とか涙は止まった。少し目が赤いけど、視線を下にしていれば、気付かれないはず。

6階フロアを後にした。


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