百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
……上から目線で…。
あー。だんだんムカついてきた。
私が、ずんずん、と事務所を目指しながら歩いていると
ふと、目の前の路地に、ある青年の姿を見つけた。
………噂をすれば、ってヤツ?
噂してないけど…。
それは、九条 遥だった。
一人で何してるんだろう?
私が不思議に思って見つめていると、彼は、すっ、と横の路地に入り込んだ。
「…あ…。」
私はつい速足になり、彼の入った路地を覗き込む。
すると、そこには太陽の光が全く入らない、暗くて、狭い道が奥に続いていた。
路地には、“逢魔街十三番地”(おうまがいじゅうさんばんち)と小さな看板が立っている。
……アイツ、こんなとこに入って何をするつもり?
まさか、“悪いバイト”とかやってるんじゃ。
私は、キョロキョロと辺りを見回して、
スマホの時計を見る。
…まだ四時半だし…事務所に行くのは後ででいいよね。
私は、コツ…と、薄暗い路地に向かって一歩踏み出した。
なんで、私こんなことしてんだろ…?
私の中に、そんな疑問はあったけど
体が勝手に動いたみたいだった。
この先にある世界を見たい、と
そう思ってしまったんだ。
私は、好奇心につられて、路地の奥へと入っていった。