百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
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「…なんなの、ここ…?」
路地に入り、歩き始めて数十分。
目的地がまったく現れない。
それどころか、だんだん道が狭くなり、複雑に入り組んでいっているような感覚に陥る。
…一体、どこに繋がってるの……?
私は、立ち止まって、きょろきょろと辺りを見回した。
九条 遥を追いかけてきたはずが、結局見失っちゃった。
……アイツ、本当に何者なの?
こんなとこに一人で来るなんて………。
すると、その時
背後からコツ…、と足音が聞こえた。
九条………?
私が振り返ると、そこに居たのは、私が思い描いていた人物ではなかった。
「やぁ、お嬢さん。
……こんなところで何をしてるの?」
そう言って私に話しかけたのは、少しパーマがかった漆黒の髪をした男性だった。
紫色の着物を着こなしていて、二十代ぐらいの外見だ。
にっ、と笑ったように、その瞳は細く閉じられている。
……誰………?
九条……じゃないよね。
アイツの知り合い…?