百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
なっ………!
私は、ぼっ!と顔が赤くなる。
「な…ななな……何それ!私はあんたに興味なんてないって、言ったでしょ!
隣の住人だからって、部屋に来られても困るんだけど!!」
私は、去っていく九条の背中にそう叫んだが彼は振り返らずにスタスタと歩いていく。
ほんとに何なのアイツ!
…私のこと翻弄して、からかってる?
……はる………
って、呼ぶほど仲良くないし!
「……はぁ………。」
私は、ため息をついて“遥”の背中をギロ、と睨むと
すっ、と事務所の方に向かって歩き出した。
もう、アイツとは関わらないようにしよう。
心の中で強く決意する。
…そして、周くんにも“詠”呼びしてもらお。
その時、私は、はっ!と思い出す。
あ…そういえば、アイツに鬼火銃のこと聞くの忘れちゃった。
周くんに詳しく聞かなくちゃ…。
私は頭の中でぐるぐると遥のことを考えながら、一人、並木道を振り返ることなく歩いていったのだった。