百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


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「お、佐伯!どーした?人相の悪い顔して」



事務所に入ると、遊馬が私の顔を見るなり笑ってそう言った。


私は、ばっ!と自分の頬に手を当てる。



“人相の悪い顔”?!



遥のことを考えていたせいで、そんなひどい顔になってたの?



事務所を見渡すと、周くんはまだ来てない。



ほっ。


よかった、変な顔見られなくて…。



芝狸は、クッションの上に寝転びながら、私に言った。



『今夜の八時に妖狩りを決行じゃ!

今日こそ、最強の妖力をわしのものにするからな!小娘もちゃんと給料に見合った働きをするんじゃぞ!』



私は“給料”の言葉に反射的に返事をした後、頭の中で考えた。



妖狩りか……。


妖界に妖を帰して、浄化の力で竜ノ神を上手くおびき寄せられればいいけど…。



私が少し不安な気持ちになっていると、遊馬が私を見ながら言った。



「佐伯は加護者なんだろ?

心配しなくても竜ノ神はつられてくるぜ。」



私は、遊馬の言葉を聞いて、さっきの遥との話を思い出した。



そっか。


遥は、加護者は普通の人より浄化の力が強いって言ってたよね。


……ということは


私が上手く鬼火銃を使いこなせれば、今日竜ノ神を捕まえることだってあり得るかもしれないってこと?


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