百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、それを聞いて全力で首を横に振る。
「私は九条 遥とは全く関係ないよ!
たまたまアイツの都合に巻き込まれただけで仲間とかじゃないし!」
それを聞いて、周くんは安心したように私に言った。
「それならいいんだけど……。
本当にあいつに気を許しちゃダメだよ?
……あいつは“裏切り者”なんだから。」
“裏切り者”………?
私は、周くんの冷たい表情に、少し不安を感じた。
どういうこと?
「あいつは、もともとここの仲間だったとかなの?」
私が尋ねると、周くんは真剣な顔つきのまま小さく答えた。
「…いや、僕が個人的に関係があるだけなんだ。
……ここの仲間だったとかじゃないよ。」
そういった周くんの瞳は、今朝と同じように悲しみを宿していた。
私はそれを見て、小さく胸が痛む。
…遥は自分のこと話さないし
人との心の距離を無視して、ぐいぐい心の中に入り込んでくる変な奴だけど…
周くんが言うほど、悪い人ではないと思うんだけどな…。
…まぁ、私もついさっきまでは、すごく嫌な奴だって思ってたけど…。
私は、二人の間に何があったのか聞ける空気ではなかったので
そのまま無言で話を聞いていた。