居場所をください。
「MC何分?」
「20分。」
「結構あるねー。」
「ハルとユリもいるから大丈夫。
行ってこい。」
私はイヤモニを肩にかけ、
長曽我部さんの手を握ってから
マイクを受け取り、
ステージに明かりがついてから
今度は一人きりでステージへ戻った。
「アンコールありがとー!」
と言いながらステージを歩く。
けっこうもうへとへと。
走る体力はあとにとっておきたい。
「いやー、あれですね。
ツアー初日ですけど、どうですか。」
なにがだよ。
自分で言っておいて、だけど。
「盛り上がってますかー!」
とりあえず盛り上げておこう。
「もうほんとにね、
無事初日が迎えられて本当に嬉しいです。
みんなどうもありがとう。」
私は頭を下げてから
会場を見渡した。
このツアーでは一番広いこの会場。
本当にちゃんと埋まってるね。
アンコールだと客席も明るいから
みんなの顔がよく見える。