居場所をください。



その時、私のすぐ横で座ってた風神が

表情を変えて立ち上がり、走った。


「え、どうしたんだろ。」


「行ってみるか?」


「うーん…」


もしかしたらただの来客かもだしなぁ。

そんな時に私と貴也がいったら

まずい気もするし。

塀じゃなくて柵に囲まれてるだけだから

あっち行くと外からも見えちゃうしなぁ。


なんて考えてると


「いててて!」


と声が聞こえたから

私と貴也は顔を見合わせ、

急いで声のした方に向かった。


柵の方に行くと、そこには

風神雷神と………


「え、矢島くん!?」


襲われてる矢島くんがいた。


「風神雷神

大丈夫だから。よしよし。」


2匹をなだめると

すぐに矢島くんは解放された。


「ほんとにすげーんだな、この2匹。」


「感心してる場合じゃないでしょ。

どうしたの?大丈夫?」


矢島くんを起き上がらせ

私は事情を聞いた。


「いや、二人がいないから

外にいるのかなと思って。

そしたらいきなり…」


「そっか。

でもなんでこんな柵のところに?

さすがに私たちがいないのわかるでしょ。

暗いけど、真っ暗ではないし。」


「………いや、

見当たらないから外なのかと思って。」


「はは、まさか。

お風呂入ったあとに

敷地から出たりしないよ。」


「そうだよね。

じゃあ俺、中戻るね。」


そういって矢島くんは

先に離れへと戻った。


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