居場所をください。
「そちらの方は?」
そちらの方?
………あぁ、高橋か。
「あ、俺は美鈴が一番心許せる相手の
高橋瑠樹って言います!」
「なにそれ。」
「いや、本当のことかと思って。
美鈴、俺といるときはあんま笑わないから。」
………ちゃんとわかってるなぁ。
笑わなくてもいい相手って
ほんっとに楽なんだよね。
長曽我部さんとも、貴也とも違う楽さ。
「美鈴が一高に通ってたときのクラスメイトです。」
一人でそんなことを考えてたら
高橋が続けて言った。
「へぇ、第一高校?
渋谷のでしょ?
頭いいのねぇ。」
うん、素直な感想だと思う。
私も高橋もどう見てもアホっぽい。
こんなやつらがそこそこレベルの高い
進学校の生徒だなんて信じがたい。
あなたの真面目そうな息子より
学歴は上なんですよ、お母さん。
勉強がすべてじゃないんだけどさ。
私なんて中退だし。