居場所をください。



「よし、沖野さんのとこ

挨拶に行こう!」


「いい加減、一人で行けるようになれよ。」


「だって緊張するんだもん。

一緒に来てよー」


「ったく、成長しねーやつ。」


長曽我部さんが重い腰をあげ、

やっと一緒に楽屋を出てくれた。


「隼也なんて一人で仕事場まで行くんだからな。

少しは見習えよ。」


「はーい…」


そうだよなぁ。

隼也と知り合ったときにはすでに

隼也は一人で仕事いってたし…


甘えてちゃダメ、なんてわかってるけどさ。


「そこの楽屋な。」


「うん。」


━━コンコン…


「はーい」


中から沖野さんの声が聞こえて、

私はドアを開けた。


「五十嵐美鈴です。

よろしくお願いします。」


挨拶だけは超仕事モード。

誰が相手でも。


「うん、よろしくね。」


沖野さんからの返事が来てから

私は楽屋へと足を踏み入れた。


「沖野さん、サインいただけますか?」


支度を終え、ソファで雑誌を読む沖野さんに

私は自分のCDを差し出した。


「え、私がするの?」


「沖野さんの歌声も入ってますから。」


「はは、そっか。」


沖野さんはいつもの綺麗な笑顔で

サインを書いてくれた。


「有難うございます!」



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