居場所をください。
「あ、もういいんだ?」
「うん。
………あの、和也たちがいつから
薬に手を出してたかって、聞いてもいいですか?」
「…絶対に、他言と約束してください。」
「はい、もちろん。」
「大橋かなは2年前の4月から。
それに誘われ、吉田夏音はその3か月後。
………うちの瑠樹と交際を始める前からだと
本人は言っていました。
そして本庄和也は今年の夏からだと
本人たちは言っていましたよ。
裏もとれています。」
「………夏音もやってたんですね。」
高1の7月、か。
私が一高をやめて、すぐ。
「………どうして薬に手を出すんですかね…」
「知人に誘われたり、一時的な孤独感を
紛らすためだったり
ただの興味本意だったりしますけど
一度やると他では絶対味わえない
強烈な刺激から離れられなくなるのが現実です。
今のところ、本庄くんと大橋さんには
ひどい禁断症状はありません。
ただ口の乾き、体の震え、
高血圧があったりはしますけど
幻覚、幻聴、鬱状態は
ないと言えるくらいです。
ただ、やはり本人たちは
目の前に薬があったら手を出さない自信は
胸を張ってないと言える、という状態。
罪意識はあります。
もう二度とやらないという覚悟もあります。
だけど、実際誘惑されたらまたその刺激を求める
そういう自覚はあるようで、それに恐れています。
一度手を出してしまった体はもう
二度と前の体には戻らないのが現実です。
だからこそ、周りのサポートが必要不可欠なんです。」
「…そうなんですね。」
「覚醒剤依存から完治することはできません。
………吉田さんには今、幻覚と
強い不安感に襲われています。
その不安感は本庄くんにもありました。
でも、ここに来てからはないようです。
本来、覚醒剤の副作用からくる強い不安感は
覚醒剤使用以外、取り除く方法はあまりなく
不安感と戦うしかありません。
でも、彼は覚醒剤に勝る安心感を
手に入れたのかもしれません。
普通では決してあり得ない、絶対的な安心感を。
そしてそれを、彼を奮い立たせています。
二度と薬に手を出したくない、と。
彼は3人の中で最も反省の様子が見ることができ
覚醒剤と戦っていることが目に見えています。
私も、彼を応援したいです。」