居場所をください。
「ただいま!」
「おかえり。どうだった?」
「和也ね、お母さんが来たんだって。
執行猶予がついたら一緒に暮らすんだって。」
「へー、そりゃよかったな。」
「ま、あとは和也の頑張り次第だけどね。」
「………仲直りでもしたわけ?」
「え?してないよ。
でもそれより先に、あいつが更正することが先。
もし、次会うことがあったらその時こそ
あいつのことを許してあげたいけどね。
…でも、さよならはしたかな。
たぶん、あいつと会うことはもうないとおもう。
あいつの中で私は、歌手の五十嵐美鈴になる。
あいつと育った16年間はもう封印かな。」
あいつなりのケジメ。
私なりのケジメ。
家族が迎えに来た私たちは
もうお互いを必要とする意味がない。
あそこは一時的な家族だから。
いつまでもあそこにいてはいけない。
それが言わなくてもわかる私たちは
やはり一緒に育ってきた同士なんだろう。
忘れない。
私とあいつの関係も変わらない。
でも、さようなら。
私たちはもう前に進むと決めたんだ。