居場所をください。
ということで、お昼ご飯のあとは
マンションへと戻った。
「美鈴、俺鍵忘れたから
エントランス開けて。」
「あー、うん。
でも普通忘れる?」
「一緒に出掛けたんだから
二人して持ってる必要はないだろ?」
「そうだけどさ。」
えーと、鍵………あったあった。
「ん、どーぞ。」
早速エントランスをあければ
「おかえりなさい。」
仲村さんが笑顔で出迎えてくれる。
「あ、仲村さんにお願いしようかな…」
わざわざエレベーターに乗り
19階まで行くのがめんとくさい。
前の4階とは訳が違う。
「そんなこと頼むなよ。行くぞ。」
だけど、貴也はそれを許してはくれなかった。
今日の貴也はとことん貴也らしくない。
仲村さんに頼むようなことは確かにしないけど、
頼むな、と止められたことは初めてだ。
「………はいはい、上までいきますよ。」
高速エレベーターだけどさ。
それでも19階は遠いよ、まったく。
「………エレベーター、一階にいないし…」
運の悪いことに、エレベーターは
すべて一階にはとまっていなくて
降りてくるのを待つ。