居場所をください。



「…それからは二人も知ってる通り。

私は、いつまでも臆病で

捨てられることに人一倍敏感だから

捨てられないように

もう要らないって言われないように

必死にしがみついてきた。


………私は、歌手になりたかった訳じゃない。

誰かに必要とされたかっただけなんだ。」


なんのために生まれてきたのか

私はその意味がわからなかった。

捨てるならどうして産んだんだって

どうして私を作ったんだって

考えても答えはでないその理由を

ずっと探し続けてきた。


だから、私は私を必要としてくれた

長曽我部さんについてきただけなんだ。

騙されてもよかったんだ。

私を必要としてくれてたなら

それでよかったんだ。


「………ここへ来て、

私はいろんな事を知った。

ここに来なきゃ、自分の両親のことも…

どうして私が捨てられなきゃいけなかったのか

いろんなことがわからないままだった。

今も生きる意味だとかそんなのはわからないけど

ここで歌うことができたのは、

きっと私が親に捨てられたからだから。

きっとあの過去たちは

今、私を幸せにするために

必要なことだったんだと思う。

そう思えることができたのは

隼也と貴也、それに

いつも私を見守り続ける

マネージャーががいたから、なんだよね。」


きっと、すべては必然だった。

だから私は、もしこの先また辛いことがあっても

その先にある幸せのために

きっとまた、踏ん張れると思う。

私のための幸せがきっとどこかで

私を待っているから。



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