居場所をください。
それからは毎日ライブの練習だった。
翌日も、その翌日も
ずーっと歌って踊って打合せして
あんなに必死に作ったものすら
私は忘れていた。
そしてもうすぐ11月が終わろうとしていた
そんな頃……
「ほらよ。」
「なにこれ。」
長曽我部さんに1枚の紙を私に差し出した。
「見ての通り、オリコン。アルバムな。」
でも、その時はその紙どころじゃない。
長曽我部さんが今までにないくらい
めちゃくちゃ嬉しそうなんだ。
「ほら、さっさと見ろよ。」
「それより、なんでそんな嬉しそうなの?」
なんでそんな笑顔なんでしょう、あなたは。
「理由が知りたきゃ
さっさとその紙を見ろ。」
あまりにも長曽我部さんの顔を
じっと見ていたから
長曽我部さんは私の顔に
その紙を押し付けた。
「わ、わかったよ…」
えーと……
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一位 私。/五十嵐美鈴
「よかったー、売れて。
だってこのジャケ写とか
めっちゃ頑張って撮ったもん。」
私の泣き顔から始まり、
長曽我部さんの腕を掴んで
見上げて笑う、私。
モノクロから始まるジャケ写に、
歌詞カードの中は少しずつ色をつけ
ジャケ裏ではフルカラーとなるこれ。
これが私は今までで一番お気に入りだ。
……ま、渋谷の街中で撮ったのは
なかなか大変だったけど…
でも、長曽我部さんがずっといてくれたから。
しかもこの最後のショットは
狙われて撮ったものじゃなくて
本当にただただ長曽我部さんとお喋りして
疲れた私を長曽我部さんを励ましたあと
一瞬長曽我部さんを見て笑った
その瞬間なんだ。
最後のポーズだけ
いつの間にか撮り終えてた。
なんの苦労もなく撮り終えた。
日常の一時を切り取っただけなんだ。