居場所をください。
「讃美歌第2編167番
タイトルはアメイジング・グレイス。」
……そこまでは知らない、けど…
それがどうしたというか
なぜそれを今やるんだ……?
「だから俺も、
神様に祝福してもらった気分になりたくて」
うん、だからどうしたんだよ。
「…俺の母さんの去年の願いは
俺と美鈴が結婚するところを見たい、だった。」
「……え?」
私はもう、マイクを口元に運ぶことも忘れ
ただただ貴也の話を聞いていた。
「結局、母さんに見せることはできなかったけど
……でも、美鈴の夢は俺が叶えたい。
母さんの願いも、美鈴の夢も。
俺は、美鈴と結婚したい。……です。」
そういって出された指輪が
その本気さを物語っていて…
だんだん、貴也が言ったことが
理解できてきて
自然と私の目に涙が溜まってきた。
「ちょ、待って」
それを誤魔化すためにも
とりあえず後ろを振り返って
上を向いて、ふらふら歩いた。