居場所をください。
「そしたら次の日の午前中には
美鈴を引き取らせてくださいって
長曽我部さんがここに来て、
私、その人に言ったの。
逃げるように転がり込んだとしても
美鈴はきっと、幸せにはなれない。
その程度のところで幸せは掴めません
ってね。」
……そうだよね。
私もそれはわかっていた。
でも、ここにいたって
幸せになれる保証はなかった。
少しでも可能性があるなら
私はそれにかけたかったんだ。
「……それに対してあの人は
美鈴が幸せになりたいと願う気持ちより
俺が美鈴を幸せにしてやりたい
と願う気持ちの方が強いので
絶対に大丈夫です、って言ったの。」
「え…、長曽我部さんが…?」
「最初、プロポーズみたいで驚いたけど
そのあとすぐに、実の兄なんですって聞いて
DNA鑑定の結果まで出されて
それ見てね、責任と義務感だけじゃ
美鈴に幸せは訪れないって言い返したのに
そんなの関係ない
俺が美鈴を幸せにしてやりたいだけです。
って強く言われてさ
……もう、美鈴を渡すしかなかった。
だから最後に、どうして歌手なのか
どうして芸能界に入れてまでって聞いたら
一つ目の理由は、美鈴の歌声は
みんなを幸せにするって言ったの。
あんなに心に沁みる歌を歌える子が
現代にまだ生き残っていたなんて、って。」
私の歌が、みんなを幸せに…?
いや、それはさすがに大袈裟では…?