居場所をください。



「それと、二つ目の理由は

そうでも言わないと、美鈴はきっと

俺についてきてくれないから、

って今度は反対に、すごく寂しそうに言ったの。

本当に寂しそうにね。

…なに不自由なく生きてきた兄と

子供を見捨てた父親なんかに

会いたいと願わないでしょう、と。」


「え、そんなことない!」


「うん。

私も、美鈴はそんなこと思ってない

今でも親の迎えをずっと待ってる

って言ったんだけど

……でも、今度は

たとえそうだとしても、

美鈴が待っているのは両親で

俺じゃないんです、って。

俺と美鈴は異母兄妹、

母親は別で、美鈴の両親は不倫関係で

美鈴を見捨てたのは紛れもなく

俺と美鈴の実の父親だったから、って。

どんな親だろうと、子供を捨てた親は

ろくなもんじゃないから

だったら、最初から俺と美鈴の関係は

黙っていた方が絶対にうまくいくから

って……

そんな話を聞いてたら、

なんかこっちまで悲しくなってきちゃって

たとえ芸能界で売れなかったとしても

この人なら美鈴を預けられる、って思ったのね。

だから美鈴をお願いしますって言ったら

絶対に幸せにさせてみせます、って

これまたプロポーズみたいで笑っちゃったよ。」


ママはそんなことを思い出しながら

クスクスと笑っていたけど

長曽我部さんがそこまで言ってくれていたことに

私は嬉しくて嬉しくて涙が出そうになっていた。


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