居場所をください。
『━━イェイ!』
音楽が終わり、会場にライトが当たると
美鈴はいつも通りの笑顔で俺から目を離した。
なんにもなかったかのように、いつも通りに
メインステージへと走って戻っていった。
『えー、今日はようこそお越しくださいました!
スタジアムツアー、最終日だぜぃ!』
本当に、俺が知らない美鈴となって。
「なぁ、さっき美鈴ちゃん
瑠樹の方見て歌ってなかった?」
「…え?いや、気のせいだろ。
目の前だからそう見えただけだろ。」
「ふーん?」
ったく、バレんじゃねーかよ。
さすがにこの距離じゃな……
『とりあえずね、
ハルとユリ姉~!早く来てー』
……ぐだぐだ。
なんかもっと考えりゃいいのに。
構成はあんな考えてんのに
MCはなんでいつもこんなんだよ。
『そういえば美鈴ちゃん!
今日旦那様は来てるの~?』
『旦那様はね~、お仕事で
明日まで海外なんだよ~。
しかもマネージャー連れて。』
『あ、だから佐藤さん今日いないのか!
なるほど。』
そういう話は楽屋でやれよな、
いつものことながらだけど…