魅惑な彼の策略にはまりました
「なんか気づいちゃって。会いに来た」


「意味不明なんですけど」


宗十郎がわずかに笑う。

ガードがゆるんだ。
思い切って私は宗十郎の手をとった。


「恋人ごっこなら、手を繋ごう。ちょっと歩かない?」


自分で拒否しておいて変なことを言ってるな、と思う。
昔は自信満々でできたことが、おずおずなのが恥ずかしい。これが今の精一杯だ。

それでも、宗十郎が頷いてくれたことに安心する。
行く宛は決めず、二人で歩きだした。


「ジャックのところへ行くの?」


「このあとメシに付き合うかって意味ならイエス。一緒にアメリカに戻るかって意味ならノー」


宗十郎が私の聞きたかったことをまとめて答えてくれる。
口調はおだやかで、この前のやりとりに対する怒りや憤りは、すでにお互いの中にないことがわかる。


「いいの?ついて行かなくて」
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