魅惑な彼の策略にはまりました
「四季は驚かないんだね」


「うん、別にそれほど」


驚かなかったわけじゃない。だけど、どこかで納得した。

宗十郎の魅力は、性別を凌駕した部分もある。
そして、長く友人をやってきたからこそ、理解できるものでもあった。

宗十郎が自嘲的に続ける。


「精神的にバイだなってのは高校くらいから気付いてて。でも、女の子とも寝れるし、問題ないと思ってた。そんな時、本気で好きになったのがその男でさ。向こうも、飲みに連れてってくれたり、仕事で会うたび色々話してくれて、俺も勘違いしたんだろうな。ある日、ガチで告っちゃったんだ」


21歳の宗十郎、私と出会う前の話だ。痛々しく微笑まないでほしい。


「『気持ち悪ィ。死ね』ってさ。てのひらを返したみたいに言われたよ。好きなヤツに嫌悪たっぷりの目で見られて、本気で死ぬかと思った。しかも、そいつ、俺の周りに結構吹聴してくれたんだよな。俺がバイだって」


「最低。あのモデル、イイのって顔だけだったんだね」


傷つけられた若い宗十郎を想うと、昔のことだというのに怒りがわいてきた。

ひどい男に恋してしまったんだ。

そんな不当なことをされるほど、宗十郎の恋心に罪があったとは思えない。
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