魅惑な彼の策略にはまりました
宗十郎の右手がベンチの上で私の左手に重ねられた。ハッとするけれど、宗十郎の方を向けない。

宗十郎が言った。


「面白くて、明るくて、愚痴っぽくて、ひがみ根性全開で。そんな素直な四季なら、もう一度、愛せるかもしれないって思った」


思った……それは過去形なんだね。
私は飲み終わったコーヒーのカップを横に置き、言えない言葉を飲み込んだ。


「だけど、そんな気持ちで四季と向かい合うこと自体が違ってたんだよな。それって、過去へのリベンジって意味合いばっかりで、四季と俺の未来を見てないもん。それに、完全に四季の気持ちを無視してる」


宗十郎は言葉を切って、私に顔を向けた。


「惑わせてごめん。面倒なことしてごめん」


「こっちこそ、ごめん」


負けじと私は頭を下げた。

さあ、ここからが私の番だ。
宗十郎は引く気でいる。

そんなことさせるか。

だって、気づいちゃったんだもん。
胸の奥で見つけた自分の気持ちに。


「あんたが好き」

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