魅惑な彼の策略にはまりました
リリが言う。


「っていうかさ、あんたが本当にキレるべきなのは、その浮気男の中根ってヤツじゃない?」


「うーん、そっちもムカつくけど」


私は言葉を濁す。すると、宗十郎が引き取って答える。


「ノリでホテルに行っちゃった手前、責めらんねーんだろ?リリ、こいつも結局その場の快楽至上主義なんだよ」


「宗十郎!あんたにだけは、言われたくないっ!!」


私はビールジョッキをどんとテーブルに置き、怒鳴った。

なにしろ、この二上宗十郎、芸能人が名指しするメイクアップアーティストなので、業界人とは腐るほど知り合える。
その中の若くて可愛いタレントの卵ちゃんとか、スレンダー美人なモデルとかと、見境なくヤリまくってる男なのだ。


「俺はきちんと確認する。『今夜は楽しく遊ぼうね。朝になったら他人だよ』って。それをしないで、雰囲気に頼って『え?これって恋のはじまり?』みたいな甘い思考でホテルに行った四季が馬鹿。超絶馬鹿」


「うっさぁぁぁい!!」

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