魅惑な彼の策略にはまりました
私は顔をあげ、宗十郎の表情を確認しようとする。宗十郎は無表情でしれっと言う。


「彼氏が他の女とイチャついてたら、嫉妬するだろ?ほら、そういう感情を思い出せ」


どうやら、これはバーチャルな特訓でもあるらしい。

宗十郎は一昨日の晩の宣言を完全に実行に移すつもりなのだ。
私をドキドキさせて、恋する気持ちを思い出させるっていう。
そのためには、嫉妬の感情もいるってわけ?


「無理があるわよ。私、宗十郎のこと何とも思ってないもん。嫉妬なんかできない」


そりゃ、さっきスタッフルームでイチャつかれた時は、少々苛立ちもしたけれど、それは常識のない若者に対する怒りというか……。


「そうかよ、じゃあ意識せずにはいられなくしてやるさ」


言うなり、宗十郎が私を抱き上げた。
ヒップの下に腕を回し、担ぐように持ち上げられ、壁に面した鏡台に座らされる。
一面に貼られた鏡に背を押し付けられ、宗十郎が私のシャツの襟元を乱した。


「ちょっと!!」


思わず大きな声が出る。冗談にしたって、やりすぎだ。


「声でかすぎ。今、誰か入ってきたら、前戯中に見えるぞ」


「う……」


「静かにしとけ」


宗十郎の唇が、私の右鎖骨のやや下に押し付けられた。
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