魅惑な彼の策略にはまりました
「いい加減どいて、馬鹿」


おでこを押さえて呻く宗十郎の身体を押しのけ、脱出する。

メーカーズマークを棚から降ろすと、宗十郎がこれ以上飲まないように、私がぐーっとラッパ飲みで消費してやった。


「帰る!」


宗十郎はどうにか身体を起こしたものの、子どもみたいにぽかんと私を見上げていた。わけがわからんという表情だ。

私はかーっと熱い喉と、じんじん痛むおでこと、くるくる回る頭で、よろめきながらパンプスを引っ掛ける。

外に出たら、すぐにタクシーを拾おう。歩いて10分の距離が壮絶に不安だ。


ああ、嫌になる。宗十郎なんかに、かき乱されて!
頭を抱えたい気分で、エントランスを出た。すでに足元は覚束なかった。



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