魅惑な彼の策略にはまりました
からかうように指さして言うと、宗十郎はぽつりと意外な答えを口にした。


「実は俺、ハリウッドで映画の特殊メイクを手掛けるのが夢なんだよね」


思わぬ告白だ。そんなまったく路線の違う話、聞いたこともない。


「うそ、そうなの?」


「そうだよ。ジャックに誘われて渡米した時も、本当はそっちの事務所を紹介してもらう予定だったんだ。なのに、ジャックのヤツ、紹介どころか、俺を弟子扱いにしちゃってさ」


ジャックというのは、宗十郎の師匠だ。
私はてっきり、望んでジャックに師事したのかと思ってた。


「いつまで経っても、俺のやりたいことができないからって、ジャックのところを出たんだけど、帰国したら、アメリカの有名人の弟子ってことで、結構メイクの仕事もらえるんだよな。日本人はビッグネームに弱いからさ。それで、まあズルズルと」


思わぬかたちで、宗十郎の秘めた本音を暴いてしまった。
悪いと思うより、特別なことを聞いている気分になる。
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