魅惑な彼の策略にはまりました
「ってことは、いつかはまた渡米するの?特殊メイクの修行したいとか考えてる?」


「うん、希望はね。でも、今は目の前の仕事も大事だからさ。キリがいいところまではやり抜くつもり。だから、俺はずーっと下積みみたいなもんなんだよ」


一流メイクアップアーティストだなんてもてはやされる男の意外な夢。
知らなかったよ。
まあ、ペラペラ話すヤツじゃない。今日だって、偶然が重ならなければ、こんな話にならなかっただろう。

長く友人をしていたのに、宗十郎のこと、まだまだ知らないことばかりだ。


「あ、もしかして、女の子と適当に遊んでるのもそういう理由?」


「まあ。責任とれる立場にないっていうのもあるけど」


宗十郎は言葉尻を濁したきり、喋らなくなる。

これはきっと、他に理由があるんだ。
もしかすると、この前、リリが口にしかけたことかな。『あいつだって昔』とか言いかけて……。

その話、私は聞いてない。
でも、なんとなく聞けないムード。


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