魅惑な彼の策略にはまりました
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「四季さん、早くー。置いていきますよー」
スタジオの施錠をしている私を急かすのは留美子だ。その隣には育江も待っている。
「待ちなさいよ。今、スヌード巻き直してるんだから」
私はモタモタと首にベージュのスヌードを巻きながら、二人を追う。
「え?今日そんなに寒いですか?」
留美子が変な顔をする。
見れば、二人とも薄手の春コート一枚だ。
3月半ばに差し掛かる本日、日中の気温は春めいてきたなんて聞くけれど。
「なめんじゃないわよ、20代!こちとら30からやたら冷えて仕方ないんだから」
「私もあと3年で他人事じゃなくなる」
育江が顔をしかめて言う。
いや、年齢のせいにしてみたものの、私がことさら寒がりってせいもあると思う。