魅惑な彼の策略にはまりました
「あのね、四季。宗十郎の言い方は、問題があるけれど、あいつは最初から四季と付き合うつもりで、この提案をしたんだと思うよ」


「なによ、それ」


にわかには信じがたい話だ。
宗十郎は私に同情して、付き合ったんじゃないの?
それじゃあ最初の提案である『恋する気持ちを思い出させる』っていうこと自体が、詭弁だったというのだろうか。


「これは、私しか知らないんだけど、宗十郎は21の時に大きな失恋をしてる。アメリカでたまたま飲んだことがあって、泥酔状態でお互いの痛いことを暴露しあったの。私はお腹の子どもを亡くしたこと、宗十郎は人生観が変わるような失恋」


この話だ。リリが言いかけてやめ、宗十郎の恋愛観に影響したこと。


「詳しくは本人に聞いてほしいんだけど、とにかく、そこから宗十郎は誰かを真剣に愛せなくなっちゃったんだって。宗十郎は四季の気持ちをレッスンするなんて言いながら、自分も恋する気持ちを取り戻したかったんじゃないかな」


「だからって……、それが私である必要なんかないじゃない。私より若くて可愛い子が宗十郎の周りにはいっぱいいるもん」


宗十郎が恋愛を思い出す相手は私でなくてもいい。
なぜ、私を選んだか、それは結局友情と同情の延長なんじゃなかろうか。

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