魅惑な彼の策略にはまりました



*****



麻布スタジオ17時半。

こちらでの仕事を終えた私は、スタジオの締めなどを育江と留美子に任せ、これから本社に戻るところだ。


「そういえば、四季さん知ってますう?」


留美子が備品を拭きながら声をかけてくる。


「ジャック・ヨークが来日してるんですよぉ」


「それって、二上さんの師匠のメイクアップアーティストじゃない」


私の代わりに育江が答える。宗十郎の名前にぎくりと固まった。
留美子が頷く。


「私の友達が今日講習会に参加してますもん。超人気で抽選倍率凄かったらしいっすよ。二上さんもアシスタント講師で呼ばれてるって」


そうなんだ。
会ってもいなければ話してもいないので、知らないことだ。

このままではいけないと思いつつ、宗十郎に会いにいけていない私。
人から名前が出ただけでぎくっとするくせに、意気地なしで。
はあ、ため息が出そうだ。


「二上さんって、またジャックについて渡米しちゃう可能性は無いんですか?」


留美子が私に聞いてくる。
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