御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「ご、ごめん。なんでもないよ」

「本当に?」

「うん。それより辞令が下りたんでしょ。これから大変だね。住む場所とか
どうやって決めるの?」

今は自分の事よりも鈴城君が気持ちよく海外赴任出来るようにしてあげることが

一番だ。自分の事は考えないようにしよう。

だってそれが最後に私がしてあげれることだからね。

私は思いきり笑顔を作った。

「家は、現地のスタッフがいくつか候補を出してくれたものの中から
選ぶ事になってて今日メールでいくつか届いたんだ」

鈴城君はもう前を向いている。

私もちゃんと見つけないと・・・

「やっぱり向こうはお部屋も広いんでしょ?」

「アパートメントなんだけど、家具から家電までそろってるし、間取りも広くて
ね。一人では広すぎるぐらいで日本とはやっぱり違うね」

「そ、そうなんだ・・・・」

こんな時どうやって返せばいいんだろう。

ついさっきまで気持ちよく送り出してあげなきゃって思ったばかりなのに

思うだけで全然実践できてないじゃん。

ダメダメこんなんじゃだめだ。

「わ、私もね・・・帰りに不動産屋さんで見てたじゃない。
意外といい物件があって今度の休みにでも見に行こうかなって思ってるんだ」

全く何にも決めてなんかいないけど嘘でも言っておくだけで鈴城君も安心するだろうと

思い勢いで言った見た。

が、しかし私の読みは甘かった。
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