御曹司はかりそめ若奥様を溺愛中
「どんな部屋?」

「はい?」

「今度の休みに不動産屋に行くなら俺も一緒に行くよ」

「なんで?」

ちょっとどうしてそうなる?

それは非常に困る。

「だって結婚するときに俺言ったよね。別れる時、次の部屋の諸費用等は協力するって
だから俺も付き合う」

鈴城君は私の目をじっと見つめ拒否権はないと言わんばかりの強い口調だった。

だけど、そこまでしてもらおうなんて思っていない。

「いいよ。そんなことしてくれなくて。私が住む場所は私が決めるし、鈴城君に
引っ越し費用を援助してもらおうだなんて思ってないから」

バイト代だって使ってないし、離婚したときに返すつもりでいる。

お金が欲しくて結婚したわけじゃない。

だから新しい部屋の費用をなんて出してほしくない。

「だめだ。今までは俺がいたからよかったけどまた一人暮らしになるんだろ?
心配なんだよ。だからー」

なんで今になってこんなこというのかな?

今優しくされるのが一番辛いのに

「そういうの・・・・いいから」

「え?」

私は心を鬼にした。

「元々好きじゃない同士が結婚したんだから、そこまでしてくれなくていいよ。
それよりも自分の事だけ考えていればいいじゃない」

こんな事本当は言いたくない。

初めて2人でおいしいワインと会話を楽しもうと思っていたのに・・・

自分でぶち壊してる。最悪

だけどここから何もなかったように楽しむ様な雰囲気じゃなくなってる。

このままだとまた言わなくてもいいようなことまで言っていまい

鈴城君を困らせてしまう。

「ごめん・・・ちょっと頭冷やしてくる」
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