あなたのヒロインではないけれど
「……これは」
氷上さんの控えめだけど、よく通った声が聞こえた。
見れば、彼の手のひらに載ってるのはアースィの小さなぬいぐるみ。小指ほどの大きさで、ストラップとしても使えるようにとリングも付けてある。
氷上さんが手にしたのは、アースィが変身した後の真っ白なユニコーン姿。当然、ペガサスの翼もある。
「初めて見るキャラクターです……まさか、これを鵜野さんが?」
「は……はい」
恥ずかしくて俯いたまま頷くと、マスコットを入れた袋が開かれる音が聞こえて。次々とキャラクター達がお披露目されていった。
氷上さんには変身後のアースィ。仲田さんにはアースィの恋人のコニィ。結城さんにはユニコーンのお母さん。ネイサンさんにはハトのクーグ。メインのキャラクター達が揃ってた。
「なるほど、こりゃ見事な出来栄えだ。氷上が惚れ込むのも無理はない」
「そうね……これだったら、私は300円ほどで売るわ」
結城さんの評価に仲田さんも賛同してくれ、肩から力が抜けてそのまま椅子に座り込んだ。ホッと息を吐いたあと、氷上さんが訊いてくる。
「……鵜野さん、このオリジナルキャラクター……もしかするとイラストとか描きましたか?」
……きた! と、私は紙袋からスケッチブックを取り出す。
震える手で、彼らの前に差し出した。
「あの……簡単なイメージですが……描いてきました。よ、よかったら……ご覧になってください」