あなたのヒロインではないけれど
“大丈夫”
思わず顔を上げた私と視線が合うと、彼は小さく頷いてくれる。
“大丈夫、落ち着いて――ゆっくり話してごらん”
声には出さずとも、氷上さんの瞳はそう語ってくれた。揺るぎない彼の、その力強い眼差しが……私の恐れをほんの少し和らげてくれる。
キュッ、と手のひらをわずかに強く掴まれて。そこからぬくもりだけでなく、彼の勇気も流れ込んでくる気がした。
一度、まぶたを閉じた私は深呼吸をし、浅く深く呼吸を繰り返し気分を落ち着かせる。そして、大海原をイメージしてフッと息を吐いた。
(大丈夫……大丈夫。氷上さんも見ていてくれる……だから、大丈夫)
私は、まぶたを開くと勢いよく顔を上げてみんなを見渡した。
「あの……私は、子どもばかり意識せず……せ、世界を広げたいと思います。主人公のアースィは……いろんな場所を冒険する設定なので……普通の魔法が出るファンタジーだけでなく……和洋中……様々な世界観を出せるかと」
それでもしどろもどろで、言いたいことの半分も出せてないけど。ここで失敗したら、後の仕事なんてとてもこなせない。だから自分の想いを込めて、一生懸命に言葉を紡いでいった。