年下くんの電撃求愛


「……できてますよ。出さなかっただけで」


明瞭なテノールの声が、頭上から降ってきた。

意味を汲み取ることができなくて、わたしはぽかんと、顔を上げる。

視線の先。鷹野くんの、薄茶色の瞳とかち合った。


「できてるなら、なんで……」

「どうしてだと思います?」

「へ……?なに……」

「そうしたら、本河さんから呼び出しがくるだろうなと思って」


ーー大当たりだ。


一段階低くした声でそうつぶやいて、鷹野くんはくすりと笑った。

はじめて見る表情の変化だ。

っていうか、わたしから呼び出しされると思って出さなかったって、どういう……


「ここって、個室ですよね」


頭に大きな疑問符を浮かべていると、鷹野くんは一歩わたしに近づき、冷静なトーンでそう言った。


「お客様のプライバシーを守るために、防音もしっかりしてますよね」

「そう……だけど?」

「だから、中で何しようが、ばれないですよね」

「……え?」


……さっきから、一体なにを言ってるの。

そう尋ねようとしたとき、いきなり鷹野くんの手が、わたしに向かって伸びてきた。

耳をかすめ、首裏に触れたその手は、わたしの頭をぐっと前に引き寄せる。

何事かと思った。判断できないでいた、次の瞬間にはもう……くちびるが、ふさがれていて。

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