年下くんの電撃求愛
「えーと……他県から引っ越してらした、他社移行組のお客様でね。今使ってるウィッグがどうもテカって見えるから、合ってないんじゃないかって。それで、思い切って新しいものに変えないかってアプローチしてるんだけど……」
仕事の内容だからか、なんとかスムーズにすべりでた言葉。
鷹野くんはあいづちをうちながら、さらりと髪を揺らして、わたしに問いかける。
「あまり乗り気でいらっしゃらないんですか?」
「あ、うん……商品自体は気に入ってらっしゃるんだけどね。なにせローンが。やっと前回分を返済したところだから、また組むのを渋ってらして……」
「なるほど……ではとりあえず、今のままでケアを続けて、今後勧めていく形で大丈夫ですか?」
「うん。一度サンプルを貸し出してもいいかなって、思ーー、」
すらすら出ていた言葉が、ふいに止まった。
デスクの上。キーボード横に置いていたわたしの手に、鷹野くんが、自身の手を重ねてきたからだ。
驚愕に目を見開き、鷹野くんを見る。
すぐそばにある端正なつくりの顔には、意地の悪い笑みが浮かんでいた。
「……〜たっ、」
「サンプルですか。貸し出しってしたことないんですけど、記載物や期間ってあるんですか?」
な、な……
なにをしでかすんだこの年下ボーイは……!!
心のなかでわたしは叫んだ。からかいにも程がある。程があるっちゃ程がある。
おもいっきり混乱するわたしを尻目に、何事もないかのように、鷹野くんは落ち着いた声で仕事の話を続ける。
手を引いて逃れようとすると、指と指をからませられ、強めの力で握られてしまった。