年下くんの電撃求愛
「そ、そんなことは……」
「〜どうせ女にはわからねえよな!!だから女の担当は嫌だったんだよ!!」
しまいには、「ほんとに誠意があるなら家まで来て謝罪してみろ!」と怒鳴られ、電話はぶつりと切れてしまった。
ツー、ツー、ツー……耳にひびく断続的な不通音に、冷や汗がにじむ。
ど……どうしよう。どうしよう。
どうしようったって、今日は指示を仰げる上の人間はいないわけで。判断も解決も、わたしがしなきゃ、いけないわけで。
ただ、これだけは明確にわかる。このまま放置したら、吉島さんはもう、この店には来てくれないだろう。
「……ごめん、ちょっと今から出てくる!!」
ここは言われたとおり、直接謝りに行くしかない。
そう思ったわたしは、がたりとデスクチェアーから立ち上がり、スタッフルームに残っている後輩たちに声をかけた。
「お客様のお宅に向かうから。昼休憩内には帰ってくるけど、もし何かあったら、携帯に連絡入れてーー」
「一緒に行きます」
耳にすべりこんだひびきの良い声に、動きを止める。
顔を上げた先、鷹野くんが、デスクチェアーから立ち上がるのが見えた。
「前山から聞いたことあるんですけど、吉島さんって、男性の一人暮らしですよね」
「あ……」
「いくらお客様とはいえ、本河さん一人で自宅に行くのはちょっと。男がいた方がよくないですか」
た……たしかに。
平謝りしなければならないお客様に対してそんな警戒をいだくのもあれだけれど、吉島さんは激昂しているわけだし、単身で乗り込むのは、ちょっとこわいかもしれない。