年下くんの電撃求愛
そんな鷹野くんの説明に、吉島さんは『おお』と感嘆のような、圧倒されたような声を上げた。
そして鷹野くんは、前のめりになり、座卓の向こうにある吉島さんの手をとると、熱のこもった声でこう告げた。
『今まで長く通ってくださっていたのも、ご自身でどこか効果を感じられいたからですよね?……納得いくまで頑張りませんか、吉島さん。吉島さんみたいに前向きな方がいらっしゃると、僕も将来に希望が持てるんです』
そうしてニコリと爽やかに微笑み、吉島さんの心をいとも簡単に、鷲掴みしてしまったのだ。
「電話、怒鳴ったりして悪かったねー!本河さん!!」
わたしたちを送り出してくれるとき、訪問時にはくっきりと刻まれていた吉島さんの眉間のシワは、もう、跡形もなくなっていた。
キツネにつままれたような気持ちで、吉島さんに礼をすると、鷹野くんの後に続いてアパートの階段をおりる。
外に出ると、昼間ならではの太陽に熱された風が、全身に吹き付けた。
風自体はぬるいはずなのに、ひやっとした寒気がはしる。
ものすごい量の汗をかいていたことに、改めて気がついた。
「あの……ありがとう……」
タクシーに乗り込んだとき、わたしはおずおずと、隣に座る鷹野くんにお礼をのべた。
仮にも支店の留守を任される立場でありながら情けないけれど、わたし一人ではきっと、吉島さんのお怒りをおさめることができなかった。