年下くんの電撃求愛
けれど、当支店にも力を入れていこうという本社の意向で、この春から、フレッシュな新人が大量投入されることになった。
その新人たちの指導係にあたったのがわたしなのだけれど……うん。これがなかなか、手強かったりする。
そのいち。
初日から遅刻常習犯。「祖母が危篤で」という言い訳を常用する前山さん。
そのに。
顧客からかかってくる電話を無視し、自身のつけまつげの位置修正に精魂を費やす片桐さん。
そのさん。
やって当たり前の業務を覚えようともせず、「あ、無理っす」と全拒否してくる大谷くんエトセトラ……と、問題児が勢ぞろいしているのだ。
ちなみに、わたしを鬼ババアと言っていた二人が、前山さんと片桐さんだ。べつに全然、これっぽっちも、根に持っているわけではない。
指導によるシワ寄せもあり、ここ最近、わたしはずっと、残業の日々を送っている。
もう何日、晩御飯と呼べる時間に、ご飯を食べられていないだろう。
「今日も残業か……」
雑居ビルの三階に位置する、ノーブヘアーの支店内。
始業を向かえると同時にばたばた動き回っていたら、いつの間にか時計は進み、気がつくと定時をむかえていた。
定時だ。けれど、わたしのデスクには、処理し終えていない書類の山が。
思わずふっと、苦笑してしまう。
……あー、つらい。書類の山なんかじゃなくて、本物の山が見たい。
山とか滝とか、マイナスイオンが出てて、癒されそうなやつ。
そう思って、窓の外に視線を移してみても、見えるのは、微妙にあか抜けない町並みだけだ。