年下くんの電撃求愛
……うん。話。
入社前、酔っ払いのわたしをマンションまで送ってくれたんだよね。それで、わたしの家で、わたしはあなたに、ナニをいたしましたか?……なんて。
「……っ、」
……だ、だめだー!!
息を詰まらせ、わたしは心内で絶叫した。決心して呼び出したはずなのに、やっぱり本人を目にすると、こわくて聞けたもんじゃない……!!
予想しただけでも死にかけたけれど、もし、その予想以上にとんでもないことをしでかしていたとしたら。ああ、頭が痛くなってきた。
「なんですか?」
わたしに迫ろうとする力はゆるめないまま、きょとん、と首をかたむける鷹野くん。
くそう、かわいいな。心臓に予期せぬパンチを食らってしまい、わたしは思わず、ぐっとくちびるを結ぶ。
かっこよくて綺麗でかわいくて、それを時と場合により使い分けてくるとは、ほんとにタチが悪い。
「あの……えーと……」
「はい」
「えーっと……」
「はい?」
「えー……っと…………〜えっ、映画!!そう!!映画行かない!?」
そしてわたしは、いったいなにを言っているんだ……!!
勇気が足りず、なんとかその場を取り繕おうとした結果、わたしはとっさに、そんなお誘いを口にしてしまっていた。
「……えいが」
鷹野くんはぽつりと単語を復唱し、目を丸くして、わたしを見つめる。
「あ……えと、無理だよね!?今日いきなりとか!!鷹野くんにだって予定あるだろうし……」
「いや、そうではなくて」
わたしに真っすぐ向かっていた力が、ふっと弱まる。
鷹野くんは口元に手を当て、わたしから目線をそらして、小さくつぶやいた。