年下くんの電撃求愛
「その……本河さんから誘ってもらえると思ってなかったので……」
鷹野くんの目元に、わずかに赤が差していた。
見たこともないその顔が、彼の照れている表情だと気づいたとき、飛び火したように、わたしの顔も火照ってしまった。
なんてことだ。どうしよう。わたしの方から鷹野くんをデートに誘ってしまった。
ますますおかしい展開を、自ら選んでしまった気がする。
でも、社内かつ密室で切り出すより、社外の、他人の目もあるような場所で話した方がよかったはずだ。きっとそうだ。絶対そうだ。
無理やり都合よく解釈し、気持ちを切り替え、むかえた午後7時すぎ。
わたしたちは社外で落ち合い、中心街に位置するパスタ屋さんで、夕食をとっていた。
本当は映画館で何か軽く食べよう、という話だったのだけれど、映画の上映時間までは、まだ少し時間があったからだ。
ちなみに、観る予定の映画は、バキュンバキュン撃ち合うアクションもの。
鷹野くんの隣でロマンチックな恋愛映画を観ようものなら、感情のいろいろなメーターが振り切れて、わたしは砂になってしまう自信がある。
「美味しいですね」
「あ、うん……」
いや、正直全然味わかんないです……。
そう思いながら、わたしは頼んだエビとブロッコリーのクリームパスタを、もぐもぐと、懸命に咀嚼していた。
鷹野くんと、向き合ってパスタを食べている。
そんな緊張シチュエーションにくわえ、自分のしでかしたあやまちを彼の口から聞き出さなければならないという、大きな課題を背負っている今。