年下くんの電撃求愛
ほぐれたら、自然と、口から質問がこぼれていた。
そうだ。そうだった。支店長から鷹野くんの経歴を聞いて、尋ねてみたいなと思っていたんだ。
美容師だった頃の話や、転職しようと思った、きっかけを。
わたしの質問に軽くうなずき、鷹野くんは、弓なりに瞳をゆるめる。
「はい。実家が美容院経営してるんです。昔から、将来は継げって言われてて。美容師の仕事はしたかったので、専門学校を卒業したあと、そこで少しだけ働いてました」
「そうなんだ……知らなかった」
ご実家が美容院なのか。
鷹野くんが美容師なら、めちゃくちゃ人気出そうだよなぁ。イケメンカリスマ美容師、的な。
銀色のハサミを構え、客と談笑するカリスマ美容師・鷹野くんを勝手に想像していると、「でも」という逆説が、耳に入った。
「実家経営の美容院にそのまま居つくんじゃ、自分はあまりにも苦労しなさすぎだなと思ったんです。一度くらい、社会の荒波ってやつにもまれてみたくて。当社だと、美容師経験も活かせますし、事務や営業の勉強ができるかなと思って」
「へえ……!!」
質問する前に聞くことができた、入社の経緯。
とても前向きかつ健康的な考えに、わたしはほう、と息をつく。
「えらいねぇ、自分から大変なことに挑戦しようだなんて……」
あ、なんか今すごく、おばさんっぽい返しをしちゃったかも。
けれど、そんなわたしの心配をよそに、鷹野くんの薄茶色の瞳は、やさしくわたしをとらえていた。