年下くんの電撃求愛
結局本題を切り出せないまま、のろのろパスタを食べているうちに、気がつけば、映画が始まる時刻が近づいていた。
「ありがとうございましたー!」
送り出してくれる店員さんに礼をして、わたしたちは連れだって店を出た。
車道に面した道を歩く。とっくに日は暮れているけれど、露店から漏れてくる光で、足下は明るかった。
周りには、早く家へ帰ろうと急く人たちと、これから飲もう、寄り道をしようとゆるい足取りで歩く人たちが、入り混じっている。
赤いユニフォームを着たお姉さんに、「お願いしゃーす!」と体育会系の口調でカラオケボックスの割引券を差し出され、軽く会釈して受け流しながら、わたしは考える。
……さて、どうしよう。
隣を歩く鷹野くんの存在を、そっと横目で確認し、また視線を前に戻す。
観る作品まで決めてしまっていてなんだけれど……このまま映画を観てしまったら、本当にただのデートになって、終わってしまうんじゃなかろうか。
そうだ。絶対そうだ。意気地のないわたしのことだから、引っ張れば引っ張るほど、言いづらくなる。切り出せなくなる。
ならば映画館に着く前に、聞いてしまった方がいい。
わざわざ時間を割いてもらっているんだし、もうこれ以上は正直、わたしの心臓がもたない。
跳ねる鼓動をどうにか抑えようと、わたしは肺にこもった空気を吐ききり、一気に吸い込むことを繰り返す。
「本河さん」
そのとき、視界にふっと影が差した。
鷹野くんが、少し心配そうに、わたしの顔をのぞき込んでいた。
「なんか顔、赤くないですか?」
「え……あ、そう!?店の中、暑かったからかな?」
「だったらいいんですけど」