年下くんの電撃求愛
けれど、その前に、わたしはちゃんと、聞いておかなくてはならない。
気まずいとか、こわいとか、恥ずかしいとか。自分の事情で逃げてしまっていたけれど……いい加減、腹をくくらなければ。
向き合わなければ。鷹野くんに。
それから……今わたしの中にある、暴れて、走り出そうとしている感情にも。
建物の角を曲がり、1本中道に入ると、明るさが乏しくなると共に、人気がぐっと少なくなった。
もうすぐ、映画館に着く。
体の横で強くこぶしを固め、わたしは足を止めた。
「……本河さん?」
わたしの異変にすぐ気づいた鷹野くんは、同じく足を止め、こちらを振り返った。
しっかりと、目が合う。
陰影をまとった鷹野くんの顔は、普段よりもいっそう、その魅力を深いものにしている。
聞け、聞くんだ、透子。視線をそらさぬよう自分を鼓舞して、わたしは大きく、息を吸い込んだ。
「あの……鷹野くん」
「はい」
「あの……今日、誘ったのはね。実は、話したいこと……っていうか、聞きたいことが、あってーー」
「ーーあれ、透子?」
背後から、耳馴染みのある声が聞こえた。
はっとして、わたしはせっかく切り出した言葉の続きを、飲み込んでしまった。
面食らいながら、上半身を回して、後ろに視線をやる。
そしてわたしは、目も口も、なんなら全毛穴もかっぴらいて、固まった。
「おー!やっぱ透子じゃん!!」
なぜなら、わたしを呼んだその人物は、後味悪く別れた例の元彼ーー達彦だったからだ。