年下くんの電撃求愛
「鷹野く……」
「しんどいときは無理しないで、頼ってください」
思わず名前を呼ぶと、目元をいっそう苦しげに歪めて、鷹野くんは言った。
「本河さんは、すぐに1人で抱えて、1人で解決しようとする。甘えればいいんです。辛いときは言ってくれればいい。あなたに……」
鷹野くんの、声がかすれる。
「……あなたに無理されたら、俺が困るんだ」
懇願するように言葉を吐かれ、わたしはそれ以上何も言えずに、口をつぐんだ。
ごめんなさい。心で、つぶやいた。胸が、とても苦しかった。
きっと今、わたしはものすごくひどい顔をしていると思う。
その顔を見られたくなくて、鷹野くんの首にそっと手を回し、鼻先を彼の胸元に寄せた。
もうほんとに、頭も胸も、なにもかもいっぱいいっぱいだ。
ただ、今は少しでも体重が軽くなりますようにと、わたしは願った。
道行く人の注目を集めたのはほんのすこしの時間で、大通りに出ると、すぐにタクシーはつかまった。
帰宅ラッシュの時間帯ではあったけれど、ありがたいことに、道はさほど混んでいなかった。
乗り込んで20分もしないうちに、タクシーは、わたしの住むマンション下に到着した。
「手、回してください」
「ん……」
速やかに支払いを済ませた鷹野くんは、再びわたしの体を抱えて、歩き出した。
今度は、抵抗しなかった。
腕のなかで大人しく丸まっていると、鷹野くんの長い足はあっという間に、3階にあるわたしの部屋の前にたどり着いていた。
「本河さん、鍵出せますか?」
「あ、これ……」