年下くんの電撃求愛
緊張と怒りで、頭が熱い。シャワーヘッドを持つ手が、震えそうになる。
そのとき。
『〜あ……あのっ!!』
ずっと黙って俺に身を預けてくれていたお客様が、突然、クロスの下で叫んだ。
それはとても大きな声で、周りのくすくす笑いが、ぴたりと止んだ。
『き、気持ちいいです!!』
お客様は続けた。
『……えっ』
『シャンプー……っ、すごく上手だから、寝ちゃいそうなくらい、気持ちいいですっ!!』
しんと静まり返った店内に、その声は響き渡った。
何が起きたのかと、俺は一瞬、戸惑った。
戸惑って、すぐ礼を告げようとして……でも言えずに、目元を熱くしてしまった。
『……っ、』
お客様の顔にはクロスがかかっているから、その表情は見えない。
けれど、クロスからはみ出た耳が、これ以上なく真っ赤に染まっていることに、気づいたからだ。
……助けてくれたんだ、と、思った。
この人は、俺がつらい立場にあると空気で読み取って、それで、わざと大きな声で俺を褒めて、助けようとしてくれたんだ。
恥ずかしいのに、勇気を出して、大きな声を上げてくれたんだ。
客の立場なのに。逆に気分を悪くして、文句を言ってもいいくらいなのに。
……なのに、助けようとしてくれた。
今まで我慢してきたものが、一気に喉元にせりあげてきた。
ばかみたいに顔が熱くて、俺は必死に、それが涙になってしまうのをこらえた。