年下くんの電撃求愛
それでも目が合わないかと、俺は、聞こえてくる歌への手拍子もおざなりに、本河さんのことばかり見てしまっていた。
到着したときからわかっていたけれど、本河さんは、かなり酔っている様子だった。
ころころ笑ったり、かと思うとこっくりこっくり、左右前後に上半身を揺らしていた。
なのに注がれる酒を全部断らず飲んでいくものだから、大丈夫なのだろうかと、俺は勝手に危惧していた。
そして、案の定、大丈夫ではなかった。
『おい、本河起きろ!!これから二次会だぞー!!』
一次会が終わり、会計を済ませたときには、本河さんはゆすってもたたいても転がしても起きあがらない、重度の酔っぱらいと化していた。
心配だが、周りの目もあって近寄ろうにも近寄れない。そんなとき、支店長から突然、『鷹野ーっ』と名前を呼ばれた。
『はい』
『お前、二次会来なくていいから、タクシー同行してコレ、送ってってくれ』
『……はい?』
これは案の定、ではなく、完全に想定外な事態だった。
目を丸くして固まる俺を気にとめることなく、赤黒い顔をした支店長は、ヒイック、と喉を鳴らして続ける。
『江田町のエースマンションって言えば、運ちゃん行ってくれるから。彼氏と間違えて襲われんなよー』
『え、あの……』
『……っと、いや。こないだ別れたって言ってたんだっけか』
だからこいつ、今日こんな飲んだのかもな。
1人で納得するように、支店長はそう言って頷いた。
なんだかとても複雑な心境で、俺は『……そうなんですか』と言葉を落とした。