年下くんの電撃求愛
幸せそうな顔をしている本河さんを見つめる。
酔い潰れる姿というのは、普通はプラスには働かないはずなのに、不思議と幻滅はしなかった。
それどころか、無防備な姿を見ることができて、俺の胸は変に高鳴っている。
3年前の自分がこの光景を見たら、どれほど驚くだろうか、と思う。
あの日からまったく変わっていない。さっぱりした顔。たっぷりとした、長い黒髪。
もう一度、触れてみたいと思っていた髪だ。
それが、今、触れられる距離にある。
『……なにしてんだ、俺』
気がつくと、無意識に手を伸ばそうとしている自分がいて、俺はその手をとどめると、はっと息をはいた。
早く帰ろう、と思った。
許可されたわけでもないのに、これ以上プライベートな空間に身を置くわけにはいかない。
そう思って踵を返し、本河さんから距離を取ろうとしたときだ。
『……っ!!』
突然、きゅっと、腕をつかまれた。
驚いて、ベッドに視線を戻す。腕をつかんだのは、他の誰でもない、本河さんだった。
さっきまで寝ているのか笑っているのか判定しづらかった薄目が、ぱちりと開いている。
『だれ……?』
『……っ、』
一瞬、ひやりとした。
まずい、と思った。知らない男が部屋にいると騒がれでもしたら。けれど。
『たつひこ?』
『……え?』
叫びを警戒していた俺に飛んできたのは、知らない男の名前だった。