年下くんの電撃求愛
呆気にとられたまま、それを聞く。
酔いのせいで少し舌ったらずになっている口調が、目の前の彼女を幼く感じさせる。
『とうこのとうは、透明のとう、です』
『ふ……』
星座に、通っていた学校名、本河さんはしまいには、自分の名前の漢字まで説明してくれた。
なんだかその様子がとても可愛くて、俺は思わず、笑みをこぼしてしまった。
『覚えておきま……す……、』
けれどすぐ、その笑いは引いていた。
本河さんのほおに、つうっと、一筋の涙が伝うのを目にしたからだ。
『え……〜だ、大丈夫ですか!?』
驚いて、焦った声を出していた。
俺のあわてた問いかけに、本河さんは、こくこく頷く。でも、涙は止まらない。
『大丈夫です……っ、』
『本河さ……』
『大丈夫……っ、ちがうんです、なんでもないんです……ごめんなさ……、』
絶対に大丈夫じゃないのに、本河さんは首を振って、無理やり笑顔を作ろうとした。
その姿は、自身の感情を抑えて、相手を……俺を気遣って助けてくれた、あの日の光景と重なるものがあった。
そんな彼女を見て、胸を直接鷲掴みにされたかのように、俺は苦しくなった。
さっき本河さんは、俺のことを“ たつひこ ”と呼んだ。
支店長が言っていた、別れた彼氏の名前なんだと思う。本河さんが泣いているのは、俺がそのたつひこじゃなかったからか。
本河さんは、きっとまだその男のことが好きなのだ。忘れられないのだ。この部屋に戻って来てほしいと、願っているのだ。
俺と初めて会ったあの日から、本河さんはもう、その男と付き合っていたんだろうか。