年下くんの電撃求愛

それとも、俺がずっと忘れられずにいた3年間の間に、付き合いだしたんだろうか。

歯痒い気持ちが生まれ、その感情が、苛立ちや嫉妬に変わっていく。

本河さんにこんなに思って泣いてもらえるなんて、その男をうらやましいと思ったし、そんな立場じゃないのに、俺は勝手に切なくなった。

そして、俺に迷惑をかけまいと笑おうとする本河さんの姿は、その切なさに拍車をかけた。


『あんまり、見ないでください……っ、』


見つめることしかできないでいると、本河さんは少し顔をうつむけて、そう言ってきた。


『目の毒、です。わたし……ほら、不細工なので!見るなら、もっといいものを……』

『ーー可愛いですよ』


とっさに、そう口にしていた。

場しのぎのなぐさめなんかじゃなかった。本心から出た言葉だった。

俺の言葉に一瞬涙を止め、本河さんは、驚いたように目を見張った。


『可愛く、ないです……』


そして眉を下げ、ゆるく首を振る。


『可愛くないです。だってわたし、ゆるふわボブ、とか、似合わないですし……』

『そんなこと……』

『ピンク、とか。ふわっとしたワンピースとかも、死ぬほど似合わないんです、わたし……、』


本河さんはそう言って、力なくへへっと笑った。

ゆるふわボブに、ピンクに、ワンピース。彼女が口にしたのは、全部、自分から遠ざける言葉だ。

でも俺には、本当は憧れているんだって、言っているみたいに聞こえた。


『……本河さん』


名前を呼んで前傾になり、ゆっくりと、手を伸ばした。

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